人は見たいものを見る

 

コンサートをオンラインで見た。

 

その人のコンサートを前に見た時、とても複雑な感想を抱いた。アイドルのコンサートなんだな、と思った。とても緊張していて、声がよく出なくて、ステージで泣いてしまう人だったので、どうやって見たらいいんだろうか、と思った。

 

その人の歌がとても好きだったので、何となく、歌手でいてほしい気持ちがあって。とても上手く歌ったように調整された映像も、どうなのかな、と思った。

 

ただ、やっぱり彼じゃなくちゃ歌えない曲があるし、ありのままを見せようとする人間臭さと温かさは、どうしてか目が離せなくなる魅力があって、彼を囲む人たちが、きっと彼のことが大好きなんだな、というのはよく分かったし、私もそのコンサートが大好きになった。

 

でも、これからどういうコンサートを目指すんだろうか、と思ってた。

 

 

 

 

 

今日は、踊る曲と新曲は歌わないことに多分していたと思う。ニコニコ楽しそうに踊る姿は「アイドル」で、曲自体もすごく良かったし、楽しかった。

 

生歌でしっかりと聴かせるところは、顔が違った。とても痩せてしまって、私には、もはやかっこいいのかどうかよくわからない程だったけど、歌を聴きながら、前に見たレコーディングビハインドを思い出した。歌に没入している姿は、スッピンでレコーディングしていた時と同じかっこよさだった。音源のように完璧じゃない声が、とても素敵だった。これを聴くと、何度でも彼の歌を聴きたくなる。

 

ピアノとギターのコーナーでは、伴奏する人とのコミュニケーションも、彼の温かでチャーミングな人となりを感じて、とても素敵だったし、会場から返ってくる歓声に嬉しそうにしている顔は、見ている私も嬉しくなった。

 

途中で歌詞を間違えた曲があったのだけど、その曲がすごく良かった。CDのように完璧に歌おうとしない歌が、すごくかっこ良かったから。前回の私が見たかったのは、多分これだった。

 

アンコールで歌われた新曲がとても良かった。

きっと、本当に歌いたい歌を選んだんだろうと思う。心のままに、自由に体で表現する姿は「演技者」にも見えたし、堂々としていて素敵だった。曲調や歌詞のメッセージから、彼の優しさが伝わってくる感じがした。もっと神々しい曲なのかとイメージしていたのだけど、彼は私がイメージしていたより、優しくて素直な表現をする人なんだと思った。この歌がとても好きだから、良い結果になってほしいけど、こういう歌はコアなファンじゃない人には、どうとらえられるんだろうか。

 

歌ったり歌わなかったり、声を張ったり張らなかったりしながら、時々言うことを聞かなそうな喉で、最後まで素敵な声を笑顔で聴かせてくれて、本当に幸せな気持ちになった。すごく魅力的な歌手だった。

 

自分で「自由に表現したかったから、振り付けを変えた」と言っていたけれど、本当に彼には「自由な表現」が似合うと思った。心が思う通りに歌って、心が思う通りに踊ったり踊らなかったりしてほしい。自然に湧き出るものを表現する自由さが、もっと彼を輝かせる感じがしたから。

 

あー、なんて幸せなものを見たんだろう、ということを言いたかった。