復讐の始まり


f:id:hiyori-joy:20240316233839j:image

アイドルの活動15周年を記念して制作された映画を観てきた。もう何百回と聴いたんじゃないかという大好きな曲たちが大音量でかかり、もう生では聞くことの出来ないバラードの歌声に、さすがに涙が出た。

 

一緒に行った友だちは、そのアイドルのいわゆるファンではないし、そもそもアイドルにそんなに興味がない人なのだけど、彼らは楽曲が良過ぎるので、彼女もライブ映像をよく見ていた。

 

ファンではないので、いつも感想が独特で、話していて面白い。むしろ私もいわゆるアイドルのファンではないと思うから話が合うんだと思う。

 

(でも、ファンにとってはすごく悲しいことをグサグサと言われ、しかもあくまでも妄想なので、読むのであれば、相当な覚悟をお願いします)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は「やっぱり初期の曲が好きだわー」と言った後、「それとあの子って、ちょっと他の2人と違うよね。一緒にいるんだけど、その場にいないみたいな表情してた。振り返る度に、その時代の気持ちを1番に話してたのはあの子だから、色々考えて感じてたんだな、と思うけど、何かやっぱりちょっと変わってる。」と1番若いメンバーのことが気になる、と言った。

 

私も彼は良い意味で「変人」と思っているので、「そうでしょ、凡人ではないから好き」と言ったのだけど、養護施設で働いた経験のある彼女は、映画を見ながら、彼らがすごく若い時から普通ではない世界に生きてきたことが気になると言うのだ。特に1番若いメンバーの彼は、本当に幼い時から「異常な世界にいた」から、「きっと彼は一回死んだんだね。だから全然笑ってないんだね。」と言った。

 

彼のソロ最新曲がリリースされた時、MVで描かれていた世界と歌詞を見て一瞬ゾクっとした。これはファンである私へのメッセージだよね、と。ファンである私と、アイドルであるあなたは両方罪深くて、それで最後に審判が下るんだよね、と。それをアイドルとして活動しながらリリースするって普通じゃないな、とちょっと思ってた。

 

それで、彼女に最新曲のMVを見せてみた。彼女はMVを見てすごく納得して、「復讐の始まり」と言った。「もうやってることはアイドルではないし、他のメンバーとあまりにも違い過ぎるから、彼から人が離れていくと思う」と言うから悲しくなった。

 

でも私も思っていた。1週間前にソロコンサートを観た時、もうこれはアートだし、歌手のコンサートでもないよね、と。パフォーマンスはアートで、かなり重苦しい世界なのに、話しだすと急にアイドル。すごい技術を身につけたな、と思ったけど、それはすごくアンバランスなことなのかもしれない。あの世界を表現しながら、アイドルとしてキラキラするのって難しいんじゃないかな、と薄らぼんやり思っていた。

 

でも彼がこれからやっていくのが「復讐」なら、すごく悲しくて「もうこれ以上彼が傷つかないといい」と言ったら、「傷つかないんじゃない?もう一回死んでるから」と彼女は言うので、これから深い復讐の世界を覚悟して見ることになるんだろうか。彼のセンシティブな最新曲は、彼にとても似合ってて好きなのだ。

 

 

 

 

 

驚くこと


f:id:hiyori-joy:20240306012926j:image

驚いていることは、私の動悸が激しくて眠れないのは、あの子が新しい場所で思ったようなスケールの大きい音楽が出来なくて、あの入隊前の涙のような切ない思いをしたら嫌だな、って思っているせいだということだ。

 

でも、そういうリスクもきっと分かった上で選んだことだろうから、離れることは必要なんだろうな。

 

世の中の人が、みんないつも幸せでいられないとは思うけど、ファンの前であんなに悲しそうに泣くのは本当に見たくないんだよー。

 

寝ます。

ペルソナ -仮面の下の素顔-:ソルリ


f:id:hiyori-joy:20231119182443j:image

「ペルソナ -仮面の下の素顔-:ソルリ」を見た。今まで彼女にそこまで特別な魅力を感じていたわけではなかったのだけど、インタビューで話す美しい彼女を見ていたら、とても思慮深い素敵な人だと感じた。

 

 

 

精神的な負担が長く続いて気持ちが不安定になった時、落ち込みが激しくて鬱状態からなかなか抜けられない日があったりする。嫌なことがあって原因が分かっている不安はまだ良くても、原因が分からない不安と落ち込みは、人を絶望的な気持ちにさせる。何もする気が起きず、1日寝て過ごすことで回復する時もあれば、掃除や洗濯で家を整えることで落ち着く時もあるだろう。または、ドラマの世界に没入して現実を忘れてリフレッシュできる時もあるし、親しい人とじっくり話して気分が良くなることもあると思う。

 

そういう対処方法が効かないくらい不安や苛立ちが強くなったら、本当に恐ろしく感じるだろうと思う。多分、そこまでになったら自分一人でどうにかすることは不可能だと思うし、もうその人は、十分な睡眠もとれていないだろうと思う。それは本当に治療が必要な状態で、入院し投薬をするか、又は家族が24時間側につき、親身になってケアをし続けるしかないのかもしれない。

 

 

 

 

芸能人が違法薬物でニュースになることが続いていて、気になっていた。どうしてそんなに…、と不思議だったけど、ちょっと調べてみると、恐らく不安や興奮を抑え、安眠したり心を休めたりするために使っている人が多いんだろうと思った。医者が処方しなければ手に入らない強い薬を、常用したくなるほどの不安や恐怖や興奮にさらされている人たち、ということなのだろうか。

 

芸能界にいる人たちが、みんな鬱になるわけではないし、薬を違法に常用するわけじゃない。そこはやっぱり様々な要因が重なって、そうなるのだと思う。じゃあどういう人がより多く苦しんでしまうのだろうか、というのが私の長く考えていることだ。彼女はインタビューの中で「自分が悪いと思っていた」と言っていた。そう思ってしまう原因は何だろう。何かが起きた時に「自分のせい」と反射的に思ってしまう思考を作り上げた原因。それは、彼ら彼女らが子どもの時に、側にいた大人ではないのかな、と思う。彼ら彼女らは思慮深くて優しい。自分を救おうと一生懸命考えるのだけど、誰かの支えがないと立っていられないほどに疲弊しているように見える。

 

 

 

自分がどうして、苦悩している人に興味があるのか時々考えていた。私自身、苦悩することが多かったからか、芸能人がどんな苦悩を抱えているのか興味があるのだと思う。多分、「偉人の伝記」を読むのに近いような気持ちで、私以外の人が「どんな風に生きていくのか」見ているようなところがある。特に、人が何に苦悩して生きているのか知りたいのだと思う。

 

本当に辛かった時、自分が何を考えていたのか思い出していた。自分自身の失敗なら、乗り越えることが出来るかもしれないけれど、自分ではどうしようもないような大きなことや、家族のこと、環境のことで苦しんでいて、逃げることも出来ないこと。その時は、自分が苦しいと思っている感情から離れて、客観的に状況を見るようにした。「客観的に見れば幸せな状況だ」「そもそもこんなことが出来るだけで恵まれている」「自分がやるしかない」そうやって、俯瞰で見ると耐えられることもある。でも、この方法は長く続けるものじゃない。誰かが休むように命令してくれないと、感情が爆発する時が来る。

 

 

 

 

 

 

このドキュメンタリーを見ていると、すごく悲しくなる。でも、この監督がどういう意図で、このインタビューをしたのか分からないけど、彼女が残してくれた映像や言葉から感じたことを胸に刻んで、今苦しんでいるかもしれない人に優しくすることは出来ると思う。

 

 

 

 

 

 

思い込みだから良いんだと思う

f:id:hiyori-joy:20231015180758j:image

好みのタイプっていうのは、本当に様々だと思うのだけど、私が昔から言っていたのは「うんちくを語る人が好き」だった。

 

だから、専門用語を用いて、そのジャンルに詳しい人しか知らないことを熱く語る人が好きだし、さらに、他の人が言わなそうな独特な考えを持ちながら自分の専門分野に向き合ってる感じの、頑固そうな片鱗が見えるとゾクゾクする。

 

それと、優しく穏やかな気性の人。自分独自の考えがあって頑固でも、それを他人に押し付ける気がサラサラない人は怒らない。押し付けられたら怒るかもしれないけど。

 

 

私の仕事は、ほぼ女性ばかりなので、それがとても楽なのだけど、最近男の子が一人入ってきた。若いけど既婚で子育て中なこともあり、なかなか落ち着いている。転職組なので、今の職場独特のルールになびかず、割と飄々としている。話し方がなよなよしているけど、多分とても頑固だと思う。

 

 

 

 

 

私はあまり他人に興味がないし、もうだいぶ慣れたけど、女の人は何故かいつもイライラしている人が多い。特に今の職場では。だから、穏やかな口調で頑固を貫く彼を眺めているだけで、ちょっと気分がいい。多分、遠くから眺めているから良く見えるんだと思う。私の年齢的に、「何を言ってもセクハラとパワハラになるかもしれないと思ってる」という友人の言葉を肝に銘じながら眺めてる。

 

 

だいぶ気持ち悪いな、と自覚しながら、「職場に男の子がいるっていいものね♪」という気分を少し積極的に味わう期間にしている。

 

アイドルも、遠くから眺める若い男の子も、私にもたらす明るいエネルギーは一緒だと思うから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の解放日誌


f:id:hiyori-joy:20230219205754j:image

自分を苦しめているものと闘う人と、闘う必要のない人。闘う必要のない人(もしくは、なさそうな人)を、本当に羨ましく思う。

 

自分を苦しめているものは自分の中にあることも多いだろうし、それに気付くのも苦しいんだろうと思う。それでも、苦しみながらでも一歩一歩、自分を前に進ませ続ける人は、多分良い顔をしているんじゃないかな。周りに流されない、その人っぽい顔つきをしてるんじゃないかと。自分らしい顔をしてるんじゃないかと。

 

人生は、本当に悲しくて苦しいことが沢山あるけど、みんな自分を微笑ませながら生きているんだと思う。

 

 

 

 

 

人間はもう終わりだ

 

私の親友と言える、とても大好きな友人は変わった人だと思う。

 

とても優しいし、困っている人は助けずにはいられない正義感のある人で、だからこそ、変な人を見ると本当に嫌がる。彼女は卑怯で非常識な人や物事を目にすると、「気持ち悪い」と、本当に嫌そうに言う。

 

彼女は、私も知らないアカウントで、推しのことをひたすら応援するツイートをしているらしいのだけど、時々フォローされると、「人間はもう終わりだ」と呟くらしい。「そうしたらね、フォローはずれるさ(笑)」と言っていた。彼女は真心ブラザーズが好きだから、彼らの歌のタイトルなんだと思う。

 

「拝啓、ジョン・レノン

「どかーん」

「人間はもう終わりだ!」

 

変わったタイトルが多いけど、過激なようでいて哲学的で愛に溢れたYO-KINGさんの歌詞は素敵だと思うし、高学歴な方がこんな風なことを若い頃から考えてたんだな、と思うと、考えすぎるのはやっぱり体に良くなさそう、と思ったりする。

 

 

それで、アイドルを推す人たちについて今日はつい考えてしまい、その人たち(私も含む)の中の一部の人たちなのだと思うけど、その推し方の盲目さと、一方的な視点と、自分に都合のいい思い込み具合に、本当に「気持ち悪いな」と思った。

 

自分の信じてきたものを簡単に変えられないことは理解出来るけど、だからこそその世界の異常さみたいなものを気持ち悪いと感じた。

 

 

それを信じている人たちの世界で、急に「人間はもう終わりだ」とつぶやいたらどうなるだろう。

 

傍から見たら、私も同じ様なものだな。

 

 

 

君たちはどう生きるか


f:id:hiyori-joy:20230724192602j:image

 

私は感覚と雰囲気と好き嫌いみたいなもので生きている。それで、少し過剰な共感と感情移入をしがちだ。

 

この映画を観た時、ストーリーや解釈というよりは、監督の年齢や今までの作品、インタビュー等を思い出して、冒頭から涙が出そうになってしまった。

 

私は感覚で生きているので、「それを観て自分がどう感じたか」しか分からない。

 

それで言うと、この映画を観て感じたことは、「監督は自分のことを語っているんだな」ということと、「お母さんを失ったことで、とても傷付いたんだな」ということと、「手足を動かして生きる力をつけてほしいんだな」ということと、「お母さんみたいな強くて美しい女性が好きなんだな」ということと、「自分たちはもうすぐ死んでいなくなるから、と思っているんだな」ということで、「思い」に圧倒されてずっと泣きそうになっていた。

 

 

最近「共感」と「感情移入」との違いについて時々考える。私は優しいようでいて、人の感情に共感出来ないことが多い。何というか、一人で孤独に耐えているような人は助けなければいけないと思うけれど、その人の側にすでに助ける人がいたら、途端に興味を失う。興味を失うというか、「私が考えなくてもいいことだ」と思う。

 

だから、本当は人にそんなに感情移入しない。その歌手に感情移入するのは「二次元だからでしょ」と友人に言われた。

 

その人の本当の感情は、その人にしか分からない。(もしくはその人にすら分からない)

その人に対して抱く感情は、自分の経験や感覚によって様々で、何が正解なのかは本当にその人にしか分からないのだけど、やっぱり私は私の感覚を信じているのだと思う。

 

 

あのコンサートの涙を見て「感動的だった」「感情を見せてくれて嬉しい」という人の感覚が、やっぱり私には分からない。いや、感覚は人それぞれだから、不正解はないし、私に何も言う権利がないのも知ってるし、そういう感覚の上に成り立っている世界だと思うし、何か物申したい訳でもない。

 

でも、私といつも語り合う友人のお母さんは、そのコンサートで泣いてしまう歌手が笑顔で話しているのを見ながら「悲しかったんだね」としみじみ言っていたらしい。彼について何も知らないのに。

 

私も彼は「すごく悲しかったんだ」と思ってる。