復讐の始まり


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アイドルの活動15周年を記念して制作された映画を観てきた。もう何百回と聴いたんじゃないかという大好きな曲たちが大音量でかかり、もう生では聞くことの出来ないバラードの歌声に、さすがに涙が出た。

 

一緒に行った友だちは、そのアイドルのいわゆるファンではないし、そもそもアイドルにそんなに興味がない人なのだけど、彼らは楽曲が良過ぎるので、彼女もライブ映像をよく見ていた。

 

ファンではないので、いつも感想が独特で、話していて面白い。むしろ私もいわゆるアイドルのファンではないと思うから話が合うんだと思う。

 

(でも、ファンにとってはすごく悲しいことをグサグサと言われ、しかもあくまでも妄想なので、読むのであれば、相当な覚悟をお願いします)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は「やっぱり初期の曲が好きだわー」と言った後、「それとあの子って、ちょっと他の2人と違うよね。一緒にいるんだけど、その場にいないみたいな表情してた。振り返る度に、その時代の気持ちを1番に話してたのはあの子だから、色々考えて感じてたんだな、と思うけど、何かやっぱりちょっと変わってる。」と1番若いメンバーのことが気になる、と言った。

 

私も彼は良い意味で「変人」と思っているので、「そうでしょ、凡人ではないから好き」と言ったのだけど、養護施設で働いた経験のある彼女は、映画を見ながら、彼らがすごく若い時から普通ではない世界に生きてきたことが気になると言うのだ。特に1番若いメンバーの彼は、本当に幼い時から「異常な世界にいた」から、「きっと彼は一回死んだんだね。だから全然笑ってないんだね。」と言った。

 

彼のソロ最新曲がリリースされた時、MVで描かれていた世界と歌詞を見て一瞬ゾクっとした。これはファンである私へのメッセージだよね、と。ファンである私と、アイドルであるあなたは両方罪深くて、それで最後に審判が下るんだよね、と。それをアイドルとして活動しながらリリースするって普通じゃないな、とちょっと思ってた。

 

それで、彼女に最新曲のMVを見せてみた。彼女はMVを見てすごく納得して、「復讐の始まり」と言った。「もうやってることはアイドルではないし、他のメンバーとあまりにも違い過ぎるから、彼から人が離れていくと思う」と言うから悲しくなった。

 

でも私も思っていた。1週間前にソロコンサートを観た時、もうこれはアートだし、歌手のコンサートでもないよね、と。パフォーマンスはアートで、かなり重苦しい世界なのに、話しだすと急にアイドル。すごい技術を身につけたな、と思ったけど、それはすごくアンバランスなことなのかもしれない。あの世界を表現しながら、アイドルとしてキラキラするのって難しいんじゃないかな、と薄らぼんやり思っていた。

 

でも彼がこれからやっていくのが「復讐」なら、すごく悲しくて「もうこれ以上彼が傷つかないといい」と言ったら、「傷つかないんじゃない?もう一回死んでるから」と彼女は言うので、これから深い復讐の世界を覚悟して見ることになるんだろうか。彼のセンシティブな最新曲は、彼にとても似合ってて好きなのだ。